多摩地域の皆様へ 24時間365日対応の訪問診療(総合診療 内科 認知症 緩和ケア科 整形外科 泌尿器科 精神科)のクリニックです
Kokubunji Zaitakucare Clinic
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認知症の方の不安やつらさに、親身に寄り添います
~日常生活を医療・介護・生活の面から包括的チームアプローチで改善のお手伝いをいたします~
当院では、認知症の症状や経過、生活上の問題点などを踏まえ、厚生労働省認定・認知症サポート医が認知症の種類をできるだけ正確に判別し、本人の気持ちに配慮した適切な治療と対処を心がけています。適切な介護アプローチも連携により行います。
類型として、脳の神経細胞の異常が原因で起こる、アルツハイマー型認知症、レビー小体型認知症、前頭側頭型認知症などがあります。他に脳梗塞など脳の血管の異常が原因で起こる脳血管性認知症、頭部外傷や脳炎などで起こるその他の認知症があります。
アルツハイマー型認知症は全体の約50%を占め、脳血管性認知症およびレビー小体型認知症の20%で、これらは三大認知症とされています。
認知症の「中核症状」には、直前の出来事を忘れる記憶障害、日常の判断力の障害、予想外のことが起こると混乱してしまう問題解決能力の障害、計画的にものごとを実行できなくなる実行機能障害、いつ・どこがわからなくなる見当識障害、
ボタンをはめられないなどの失行、道具の使い道がわからなくなる失認、ものの名前がわからなくなる失語などがあります。
認知症で周囲の人との関わりのなかで起きてくる症状を「BPSD」=「認知症の行動と心理症状」といいます。
幻覚や幻聴などの妄想、介護への抵抗、暴言や暴力、興奮や易刺激性、抑うつ、意欲低下や無気力、思い込みや心配、不眠や昼夜逆転、せん妄、徘徊、もの取られ妄想、失禁、目的や意味のわからない行動、依存、多動や多弁、不潔行為、などの症状が起こります。
認知症の症状
ご家族・介護者を困らせる認知症の「周辺症状(BPSD)」について
ご家族・介護者を困らせる認知症の「周辺症状(BPSD)」について、認知症の類型別の特徴を踏まえて、わかりやすくご説明いたします。
認知症の代表的な症状は「物忘れ」(記憶障害)です。
さっき話をしたことを忘れたり(短期記憶障害)、同じ質問を繰り返したり、介護者にとってストレスになります。
しかし、それよりも周辺症状(BPSD)の方が介護者にとって問題になることが多いです。
認知症が進行し、妄想・幻聴・幻視・介護抵抗・暴言暴力などの症状が出るようになると、介護者を苦しめます。
これらの症状を周辺症状または、BPSD(Behavioral and Psychological Symptoms of Dementia)(行動・心理症状)といいます。
周辺症状で悩まれる患者さんのご家族は、「医療機関にかかっても対処法はない」と思われがちです。
しかし、認知症の方を多く診ている印象では、適切な投薬と介護の対応で7~8割ほどの患者さんは周辺症状が軽快、消失が見込めています。
1.認知症の周辺症状とは?
・物忘れ(記憶障害)を中心とした中核症状に対して、介護者やご家族を困らせる「周辺症状」という概念があります。
認知症になれば、どなたにでも中核症状が現れます。「中核症状」は脳の神経細胞が機能しなくなることにより直接起こる症状です。
具体的には、
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直前に起きたことも忘れる短期記憶障害
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いつ・どこがわからなくなる見当識障害
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筋道を立てた思考ができなくなる判断力の障害
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予想外のことに対処できなくなる問題解決能力の障害
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計画的にものごとを実行できなくなる実行機能障害
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ボタンをはめられないなどの失行
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ものの名前がわからなくなる失語
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道具の使い道がわからなくなる失認
などがあります。
・周辺症状
認知症患者さんは、当初は中核症状だけを訴えます。
通常のMMSE検査(Mini Mental StateExamination、MMSE)で30点満点のうち18点以上の成績であれば通常は中核症状でとどまります。
しかし18点を切るころになると、周辺症状として、興奮、暴言や暴力、抑うつ、幻覚、妄想、不眠、昼夜逆転、徘徊、失禁、弄便、せん妄などが出現してきます。
ご家族や介護者が対応に苦慮する多くは、中核症状よりも周辺症状です。
・中核症状と周辺症状の違い
臨床診断にあたり、認知症の患者さんのご家族にお伺いする「周辺症状があるかないかを知る質問」があります。
それは「患者さんの症状で困ったことはありませんか?」という質問です。中核症状の段階では物忘れが常時あるような状態でも、ご家族は困りません。しかし、周辺症状が出現すると周囲の方は苦労があったり困ることが多くなります。
2.認知症の類型によって周辺症状(BPSD)の出現の仕方が違います。
・アルツハイマー型認知症
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アルツハイマー型認知症
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脳血管性認知症
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レビー小体型認知症
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前頭側頭葉型認知症
大きく、下記の4つの類型があります
アルツハイマー型認知症は典型的な経過となります。最初に、中核症状が症状が出現し、中核症状が進行するに従って周辺症状が現れてくるようになります。
MMSEでは、初診時に、30点満点中、20点台で中核症状のみがみられ、MMSEが18点を切るころから周辺症状が現れます。
・脳血管性認知症
脳梗塞や脳出血、くも膜下出血が原因で起こるものです。長い時間の経過とともに階段状に状態が変化していきます。
認知症の症状の出方のひとつに、良い時と悪い時の差が激しいものがあり、これは以前は「まだら痴呆」と呼ばれていました。しかし、アルツハイマー型認知症はまだらな症状ではなく、近年ではまだら痴呆という言葉は使われることは少なくなりました。ただし、血管性認知症の場合は、このまだらの症状の特徴があります。
周辺症状が強く出ているときもあれば、全く出ないときもあり、症状の差が激しく、認知症薬の投与開始するかどうかの判断が難しい場合があります。
様子を見ながら、周辺症状が多くなってきた場合に、投薬開始をすることが多いです。
初期症状として、頭痛、めまいや手足のしびれなどがある場合もあります。
糖尿病や高血圧など他の基礎疾患を持つ場合が多いです。
・レビー小体型認知症
男性に多く見られます。レビー小体型認知症の特徴は、幻視です。繰り返されることが多く、具体的な内容のことが多いです。
部屋に知らない人がいると訴えたり、虫が見えるなどの幻視が初期症状として現れます。
通常、アルツハイマー型認知症といった認知症では、物忘れ等の中核症状が進行したうえで、幻視といった周辺症状が出現します。しかし、レビー小体型認知症では物忘れ(短期記憶障害)などがほとんど見られない状態から幻視を訴えることが特徴です。
アルツハイマー型認知症では幻視が出現しないMMSEで20点台でも、幻視が出現します。つまり、MMSEが維持されているのに幻視を認めれば、レビー小体型認知症を疑うことになります。
自律神経障害(血圧の高値や低値、発汗異常、頻尿など)や夜間の不穏な行動、うつ症状を伴うこともあることが特徴です。
・前頭側頭葉型認知症
脳の前頭葉、側頭葉が萎縮していく疾患です。ピック病ともいいます。初期から周辺症状が特徴です。この段階では、物忘れなどの記憶障害はほとんど見られず、また、病識の欠如も特徴です。礼儀がなくなり、理性や感情に障害が出ることで、怒りやすかったり、他人を思いやる気持ちがなくなったり、善悪の判断をつけることができなくなります。その結果、暴力や万引きなどの反社会的な行動を躊躇することなくすることがあります。
認知症の中でも患者数が少なく、わかりやすい認知症の症状がないため、周囲が気付かないこともあります。
前頭側頭葉型認知症の場合、家族は患者さんの症状にとても困っていますが、MMSEを行うと、正常に近いことも多くあり、見逃されていることもあります。
3.治療法
治療は、認知症治療薬(リバスタッチパッチ、イクセロンパッチ、ドネペジル、メマリー、抑肝散など)、他の漢方薬(自律神経の調整作用などがあるものがあります)、抗精神病薬などの投薬、食事療法、介護でのアドバイスなどを、状態に合わせて細かく調整して行います。
周辺症状が出現してきている場合は、早めに投薬などの対処をすることで、ご本人のできることが増えたり、それまでとは比較にならないほど、日常生活が改善することがとても多くあります。
現代医療では、認知症を完全に治す薬はまだありませんが、進行を遅らせたり、状態を改善することは十分に可能です。
当院では7~8割以上の患者さんは、周辺症状が消失または、日常生活に大きな問題のない範囲に調整をさせていただいております。
4.周辺症状の介護での対応
周辺症状は投薬治療だけでなく、介護での対応も重要です。
対応の基本は、周辺症状を訴える患者さんの「視点をずらす、意識を他のことにそらす」ことです。
例をあげると、妄想や幻覚の訴えがある患者さんに、「そんなことはない」と正面から否定すれば、患者さんはより意識してしまいます。
話の内容を否定せずに聞きながら、やさしく手を添えて「お茶でも飲みませんか?」と話題を変えたりことで、症状が落ち着かれることも多くあります。
認知症チェック ~もの忘れが気になり始めたら~
自分でチェック
-
ものをなくしてしまうことが多くなり、いつも探し物をしている。
-
財布や通帳など大事なものをなくすことがある。
-
曜日や日付を何度も確認しないと忘れてしまう。
-
料理の味が変わったと家族に言われた。
-
薬の飲み忘れや、飲んだかどうかわからなくなることがある。
-
リモコンや洗濯機などの電化製品の操作がうまくできない。
-
いらいらして怒りっぽくなった。
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一人でいるのが不安になったり、外出するのがおっくうになった。
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趣味や好きなテレビ番組を楽しめなくなった。
家族・身近な人でチェック
-
同じことを何度も繰り返して話したり、聞いたりする。
-
しまい忘れが多く、いつも探し物をしている。
-
曜日や日付がわからず何度も確認する。
-
料理の味が変わったり、準備に時間がかかるようになった。
-
薬の飲み忘れや、飲んだかどうかわからなくなることがある。
-
リモコンや洗濯機などの電化製品の操作がうまくできない。
-
失敗を指摘されると隠そうとしたり、些細なことで怒るようになった。
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財布や通帳などをなくして、盗まれたと人を疑う。
-
趣味や好きなテレビ番組に興味を示さなくなった。